壱岐の木


アコウ

 広い道を右折して、道なりに急な坂道を下りきった場所にあります。

 周辺は、波静かな入江で、いつも、小鳥がさえずっているのが聞こえます。

 また、この周辺の海底には、たくさんのサンゴが自生しています。

 アコウの木は、もともとは、南方系のクワ科、イチジク属の亜熱帯性高木です。

 中国南部、台湾、琉球を通って、種が流れ着いて、ここで自生したものか、それとも誰かが植えたものか分かりません。

 長崎県内のアコウとしては、ここにあるのが分布の北限です。

幹周り4m、高さ13mあります。

写真のように、生育は旺盛で、枝や葉が生い茂っています。

幹の周囲からも根が出て、その根が、地中に入って、アコウの幹、全体を支えています。

古い葉は、春になると落葉し、新しい葉が出てきます。

枝や幹に直径1cmほどの大きさのイチジクに似た小さな実がなります。

成長が早いので、海岸地域では、防風林としても利用されています。





えのき

本当に大きな木です。

2本とも、木のねじれぐあいが最高ですね〜。

こぶもたくさんついています。

思わず、頬ずりしたくなります。

壱岐には、比較的、えのきの大木が多く見られます。

えのきは、まな板に使われるくらいで、建築用にはとても使えません。

写真を見てもお分かりのように、まっすぐに伸びてくれないからです。

写真のえのきは、壱岐で1、2を争うほどの高さがあります。

右上の木は、民家の畑のまんなかにあります。

江戸時代に、一里塚として植えられました。

長い年月の経過で、幹に大きな穴がポッカリとあいています。

畑の日当たりが悪くなるので、10m位の高さで、頭が切ってあります。




左の木は、乙宮神社(おとみやじんじゃ)にあります。

幹周り3.7m。

樹齢何百年というものです。

江戸時代の初めからここにあります。

以前に、火災で、幹まで焼けてしまいましたが、それでも枯れることなく育っています。

大きな割れ目が見えますが、これは火災で焼けた跡です。

枝が、ひっかかって、塀の屋根瓦が割れています。








大杉

 右の杉の木は、壱岐で3番目に大きな杉の木です。

 龍養寺にあります。

 













左の杉の木は壱岐で一番大きな杉の木です。

安国寺にあります。

 多分、このくらいのものになると、幹のまんなかは、空洞になっていることでしょう。

台風にも負けず、樹齢数百年の年月を経て、これほどまで成長しました。

















クスノキ

住吉神社にあります。

壱岐では、一番大きな木です。

幹周りは5.2mあります。

クスノキは、縁起の良い木といわれ、良く神社の境内(けいだい)に植えられています。

1枚の葉が落ちても、すぐに、新しい葉が出てきます。

こういうところから、子孫繁栄の象徴とされています。

昔は、クスノキを加工して、樟脳(しょうのう)を作ったり、防虫剤として利用されていました。

私の家の近くにも、樟脳工場がありました。

今は、跡形もなくなっています。

香りがとても良く、マイナスイオンが出ているのではないかと思われるほど、心が安らぎます。






ヒイラギ

 ヒイラギは、国内では、関東地方から南と台湾だけに分布しています。

 長崎県では、壱岐だけにしか自生していません。

 高さ8.8m、幹周り2.3mあります。

ここまで大木になるのは、とても珍しいといれています。

 根元のところに、神様が祀ってあるために、神木として大切に保存されてきたものと思われます。

県指定天然記念物です。

葉の両端には、とげのようなものが付いていて、とても触れません。

木が、年老いていくにつれて、葉のとげもなくなってきます。

晩秋になると、香りの良い、白い、小さな花が咲きます。

写真のヒイラギは、めすで、葉が広く、やわらかいという特徴があります。





右の写真は、通りがかりの女性が、とげのあるヒイラギの葉を使って、遊んだことを実演してくれたものです。

とげのあるヒイラギの葉を指の間にはさんで、軽く息を吹きかけると、ヒイラギの葉が、クルクルと風車のように回ります。

見ていて、「へえ〜、こんな遊び方もあったんだ。」と、感激しました。

実演が、終わった後で、この女性、ヒイラギのとげで、指を刺されて、思わず、「痛い!!」と、言っていました。

実演ありがとうございました。








イチョウ

右のイチョウは年輪を感じさせますね。

樹齢1000年以上と言われています。

壱岐では、一番大きなイチョウの木です。

長崎県でも2番目に大きな木です。

根周り10m、幹周り6m、高さ20mあります。

大きくなるのは、オスの木で、メスの木は、なかなか大きくなりません。

ところで、皆さんは、イチョウの木のオス、メスの区別の仕方をご存知でしょうか。

実は、イチョウの木の枝を見て、枝が垂れ下がっているのはメスで、上に向かって伸びているのはオスの木です。

右のイチョウは枝が下に垂れ下がっているので、メスであることが分かります。









2回も落雷による、火災にあって、焼けてしまい、大きな穴がポッカリとあいています。

それでも、生きのびているので、生命力の強さには驚かれます。

言い伝えによると、お祭りで、綱引きをしていると、雷が落ちてきて、このように木がまっぷたつに裂けたそうです。

それ以来、綱引きを止めて、奉納相撲に変えたそうです。

ちょうど、写真をとっていたときに、台湾リスが2匹、イチョウの枝を飛び回っていました。

農作物や果樹を食い荒らします。

困ったものです。











イチョウの木は、樹齢が進むと、写真のような、イチョウの枝や幹からまっすぐに垂れ下がった木根(きこん)が出てきます。

このような木根が出て来たイチョウのことを「たらちねのイチョウ」と呼んでいます。

みごとな垂乳根です。

母乳の出が悪い女性がイチョウの木に触れて、お参りすると、母乳の出が良くなると言います。











モクセイ

 モクセイというと、キンモクセイというのが一般的ですが、モクセイには5種類くらいあります。

 写真のモクセイはウスギキモクセイという種類のものです。

 幹周り1.8m、高さ10mあります。

 モクセイの花は、黄色ですが、ウスギモクセイは、名前のとおり、ごく薄い黄色です。

 このくらいにまで成長するモクセイは珍しく、全国でも最大級です。

 県天然記念物に指定されています。

1回、台風で倒れました。

そのため、2本の棒で幹全体を支えています。

モクセイの香りはなかなかいいものです。

毎年10月、秋の彼岸頃になると、花が咲きます。




スダジイ

これは、現在では、壱岐では一番大きいスダジイです。

現在では、と言いましたが、壱岐は、結構、山が多いので、まだ、知られていない場所もたくさんあり、さらに、大きな木が発見される可能性もあるからです。

何回か落雷にあい、そのたびに、消防車が来ました。

今でも、元気に成長しています。

高さおよそ15m、幹周りおよそ6mもあります。

見ているだけで、パワーをもらえそうです。



















珍木

いやいや、驚きました。

壱岐には、たくさんあるヤブツバキの木です。

自然の神秘には、驚かれます。

1本が、割けたのか、2本あったものが、くっ付いたのか分かりません。